得意を伸ばすか、苦手を潰すか

これは受験生にとって永遠のテーマかもしれない。
というより、大学に入り、更に大学院に入ってからもこれは現状として付きまとう問題。
他人の勉強を見ていても、自分の勉強をしていても痛感するけど、これは結論としては後者が優先。
あくまでも自分の感覚ではあるけど、高校、大学、さらに院の受験を経てこれは感じた。

苦手を無くす方を優先する理由

簡単に言えば、受験の試験範囲は広いから。
と、一言で片付けてしまうと抽象的なので、少し具体的に書き下すとこんな感じ。

・大学受験で言えば、高校三年間で教わるすべての範囲が出題範囲

・試験として成立する難易度=標準問題、サービス問題の存在

・得意分野をハイレベルにする労力>苦手分野をそこそこにする労力

当たり前の話だけど、普段の定期試験とは違い、3年間で教わる全てが試験範囲だから、むちゃくちゃ範囲は広い。
だから、「ここは東大の問題でもできるけど、ここはさっぱりでセンター試験レベルでも無理です(または、ここの大学は傾向として出ないからやってません)」というのは、万が一そこが本番で出てしまったら、確実にそこは落としてしまう。難問をあえて捨てて、解ける問題に時間を回すのは受験の常套手段だけど、こういう理屈でこの戦略を用いるのは得策じゃない。
同じ教育を受けた同じレベルの受験生が受けて、その中でできる人、できない人を選別する試験なので、難問を出す大学でも、中には基本の問題が混ざっている。これが「確実に取るべき」問題。たとえ得意分野で補ったとしても、それが難問だったら落とすかもしれない。偏差値50を55にするのは比較的簡単だけど、偏差値65を70に伸ばすのはおそらく倍以上の労力が必要で、これは分野、教科、単元にも同じことが言える。
さらに融合問題という複数分野にまたがった問題は、そのうちの一つの分野でも全くできないものが存在するとお手上げになる。

受験生の時間は限られているから、時間を無駄遣いしないためにも、合格には「得意を超得意にする」よりも、「穴を無くす」ほうが優先順位は高い。

得意科目ばかりやるのはある意味サボりと同じ

科目に関係なく、勉強していることには変わりはない。が、数学が得意な人は、他の科目と比較して数学の勉強は苦痛ではないはず。だって、問題が解けて楽しいから。
それで、数学ばかりできて、他の科目ができなかったらどうなるか。答えは明白だろう。さらに言うと、自分の場合は化学の有機化合物の構造決定問題が大好きで、構造決定問題なら東大・京大の問題もほぼ余裕だった。が、難関大でよく出題される化学平衡の分野が苦手だったので、結局化学の偏差値はあまり伸びなかった。得意なことをやるのは楽しいし、勉強した気にはなれるけど、それだとなかなか成績そのものは上がらない。
それはつまり、嫌なことから逃げて、好きなことばかりやっていることに他ならない。(文系の人でも、歴史オタクで歴史はものすごく詳しい人がいるけど、そういう人は受験には弱い傾向にある)

理系は特に苦手を残すと入ったあとがつらい

理系で英語が苦手な人がけっこういる。これは放置しておくと大変なことになる。というのも、数年後、教科書が英語で書かれていているものを使わされたり、論文を読むときは基本的に全て英語だから。
「理系だから英語は」とか、「理系だから国語は」というのは、大学受験でしか通用しない。(専門の教科書を読むのは、現代文の文章を正しく読む能力が必要です)
「今は大学受験やってるんだからいいじゃないか」という人は、大学に入ることを一度考えなおした方がいい。そんな人は、そもそも、何のためにこんなに辛くて苦しい勉強をしているのか、という問いを自分にしてみることをオススメする。
大学に入るために勉強するのか、大学で学ぶために勉強するのか、では大きく勉強の仕方が異なる。本質的には後者だと自分は思っているから、そういう前提で書いているんだけど、そのためには苦手を苦手のまま残す癖をつけるのは絶対に将来の自分のためにならない。
大学に入ってから、意味の分からないことなんて余計に増えるし、それを解消するために何冊も本を読むのは気が遠くなる作業だけど、これはやらないと先に進めない。
そういう入ったあとの事情もあるので、まずは浅くでもいいから、広く基本をしっかりと身につけるということを意識して、粘り強く学ぶこと。

それが、大学に入ってからの勉強で必ず役に立つ。

受験なんて、所詮入るための通過点でしかない。

これは、何度も受験を経験した者からの助言。