東大生向けの英単語帳、とは言うけれど

早慶受験生でもTOEIC/TOEFL受験者でもオススメではないか。あと、英単語帳と一括りにしてしまうのもちょっと野暮でしょう。

東大受験指導専門塾である「鉄緑会」による、英語科秘伝の画期的な新感覚学習法が記された本書。よくこれだけの情報量をこんなにコンパクトにまとめたものだ、という印象。

いや、そもそも受験において「知識偏重」という悪弊が近年では「思考力重視」にシフトしてきている状況下で、時代の流れに則ったスタンダードな参考書かもしれない。

そこに書かれているのは英単語や熟語だけでなく、語彙の増やし方のテクニック、関連語や派生語、豊富な例文もある。効率重視な従来の単語帳にくらべると辞書に近い情報量。でも使いやすい。

膨大な情報量をいかに処理していくかというのは、受験の至上命題だし、情報社会の次にある知識社会において必須の教養。受験生がまさしくこれから身につけるべきなのは頭の柔らかさ、つまり思考力だ。

本書は思考力が何であるかを、その内容構成で体現しているのが素晴らしい。何度も言うけど、ボリュームがこれだけあるのに使いやすい。相当練られた内容だと思うし、敷居も高くなく万人向け。

ただし不満をいえば関連語や派生語は豊富だがそれぞれの重要度がわかりにくく、独学よりも誰かの解説を通したほうが参考書としての効果が最大限に発揮されるのではないか、ということ。DUOだったら、たぶん派生語や関連語は皆読み飛ばしてしまっているだろう。

この本の場合、他の参考書なら些末的に見えてしまうそういった知識も並列的に読み込んでいくのが基本的なスタンス。そのスタンスを知ったうえで使うべきだろう。

入試頻出的な意味での語彙量は速読英単語と同じくらいかな、と思う。速読やシス単で無理なく勉強できているなら手を出す必要はない。ただし、この本に書かれているノウハウはぜひとも参考にしておくといい。