小論文で気をつけること:3

文章を書くときには、できるだけひとつの段落にひとつのメッセージ、という風にしたほうがいい。これは慣れが必要だけど、わかってくると自信が持てる文章が書けるようになる。

ひとつの段落にひとつのメッセージというのは、段落それぞれがほかの段落と違う意味をもつということだ。ひとつの段落のなかで論理展開するのではなく、段落ひとつが進むたびに論理がひとつずつ展開されていくイメージだ。

文章を書く練習をはじめて間もない頃は、この書きかたをするのが難しい。段落ひとつで80〜200文字くらいになるだろうが、練習当初はその分量を書くこと自体が難しいからだ。語彙力はある程度書きなれていくうちに引き出されてくる。

だから慣れないうちは、ひとつの段落でどんどん話を進めてしまいがち。これだと、800文字でもかなり内容がつまってしまい、なんだか読みにくい。論理的な文章というのは、読みやすさを兼ね備えた文章のことだから、慣れないうちの文章は論理的な文章ではない、ということになる。

したがって、小論文を上達するためには、ひとつの段落で言いたいことをひとつずつ言うようにしていく練習をすることだ。その練習の仕方としては、ひと段落を2つか3つの文章で構成すること。

具体的には、段落の1つ目の文章で言いたいメッセージを書く。2つ目の文章はそのメッセージの補足になることを書く。理由だったり、言い換えだったりだ。

つまり、段落のなかに「メッセージ」があり、メッセージをよりわかりやすくするための「理由」や「言いかえ」もある。それだけでひとつの段落にすることができるということだ。

これなら文字数も稼ぎやすいし、段落ごとの内容がぶれにくい。無駄のない文章を書きたい人には好かれないかもしれないが、段落ごとの内容が薄いくらいのほうが読む側にはわかりやすいのである。

ちなみに、2つ目の文章や3つ目で添えるような「理由」だとか「言い換え」だとかは、バリエーションはほかにも色々ある。どんなものがあるかは書いていけばわかるだろう。結局は段落1つ目の文章にあるメッセージをわかりやすくするための補足でしかない。

こんな風に、段落ごとに論理を進めていく文章の書き方は、小論文をすらすら書けるようになるためのテクニックだ。段落ごとに1メッセージを読み取るのが「パラグラフリーディング」なら、こちらは「パラグラフライティング」といったところだろう。いずれも本質的には同じことだ。