高橋和浩の物理電磁気必出問題の解法

「電磁気がとにかく苦手でできない、力学はできるのに……」

「電磁気のところだけ模試で丸々白紙だ……」

と、嘆く人用の問題集の紹介。

高橋先生のこれ。
予備校時代、一年間この人の授業受けてたんだけど、めちゃくちゃ分かりやすい。
あと、シャツが毎回どこでそんなん売ってんの!?ってツッコみたくなるようなド派手なやつだった。
個人的には、私大落ちて先生の前で泣きに行ったり、色々お世話になりました。
見た目変わった人だけど、良い人です。
それと問題集の出来は全く別だけど、ニガテな人にはこれくらいの方がいいんじゃないかと思う一冊。
ある意味思い切りのいい割り切り方で、とにかく「全く出来ない!解説も読みたくない!」から、とりあえず「解説読む気にはなる」くらいにはしようっていうのがコンセプト。
数学や化学で言うところの、坂田アキラ先生のシリーズみたいな、そんな感じ。
小難しいことは置いといて、暗記するとこは暗記しちゃいましょってことも結構あるから、本質的な理解がしたいって人はちょっと物足りないかもしれない。
その前にまずは解説読もうって気になるくらいには分かる必要があるから、本当に分からないなら下がるとこまで下がったほうがいいです。

電磁気が何故ニガテか、を理解した本

電磁気が苦手っていう受験生は多い。
力学はできるのに、何故か電磁気はダメって人は本当に多くて、かつて自分もそうだった。
電磁気が苦手な人は、何が出来ないって、「何が起きているのか」をイメージできていないということが多い。
力学と違って、電磁気の現象の多くは目に見えない。
電場だって、磁場だって、目にみえないしね。
だったら重力場だって見えないじゃないかという話はまた別で、電磁場にしたがって起きる現象は、粒子として目にみえない。
力学は、物が落ちたり、飛んだり、回ったりして体感できるけど、電磁気は電流が流れていたり、磁場が働いていることを身体で体感できない。
(体感したら、感電しちゃうし)
そういうところに配慮して、ニガテな人に、いかに分かってもらうかに苦心した解説になってる。
構成も、分かりやすいすっきりした構成になってる。
学校の物理で電磁気が分からなくて、死にたいという人は、今すぐこれを買って、とりあえずやってみてください。

入試物理良問と要点

為近の物理1・2解法の発想とルールと一緒に使える問題集。

入試物理良問と要点

入試物理良問と要点

あんまり有名じゃないけど、一応解法の発想とルールとか、代ゼミ系の本で名高い為近センセイの本。
Z会のチェックアンドリピートみたいな構成になっていて、左側のページに問題、右側に要点という名のヒントが載っている。
ヒントと言っても、問題の大切な原理が書いてあるから、解けないときは、それを見て思い出す。
文字は少し小さめで、解答もあっさりめ(その分のヒントは要点に書いてあるから、それでいいんだけど)だから、単体で初学者が使うにはちょっと難しいからあまりまだ人気が出てないのかもしれない。

それとも、これはもう巷では有名なのだろうか。
良問を繰り返し解いて、少ない問題で最高の成果を上げる主義の人だから、収録問題数は少ないけど、一問一問は濃い。
そんで、解法の発想とルールの基礎例題からスムーズに繋げられる問題集。
解説と要点見て分からなかったら、ルールに戻って確認すればいいし。
ちょっと見た感じ、問題構成も似てたから、かなりシナジーあるんじゃないかなぁ。
これができれば、普通の問題は普通に解ける。
ただ、物理とか、数学は、実はこれが一番ムズカシイ!

なので、解法の発想とルールを使ってる人、使おうとしてる人は、ちょっと探してみてください。
到達レベルは、重要問題集のA問題くらいかな。
まあ、これができればきっと放置したり、挫折したルールの入試問題もなんとかかじりつくくらいにはなる。

参考記事:為近の物理1・2 合格へ導く解法の発想とルール

センター明けにやるべきこと

センター試験が終わり、いよいよ私立の一般試験や、国立の二次試験に向けて動き出すときが来た。
そこで、センターが終わったあとの一ヶ月弱でやるべきことをまとめてみる。

第一志望の過去問を解く

当たり前だけど、もちろんこれは外せない。
できなかった問題は、なぜできなかったかをしっかり分析すること。
さらに、自分が弱いと思った箇所については、必要なところまで戻り、確実に埋めていく。
特に東大など、足切りのある大学や、センターの配点が高い大学を志望していて、センターの結果が振るわずにやむを得ず志望校を変更する人は、今月中に載っている過去問を全て解く。
東大から東工大などに鞍替えするときでも、問題の毛色が違うから、必ず確認する。
対策は早いうちから練っておこう。

滑り止めの過去問を解く

別の記事でも一度書いたけど、これもやっておくこと。
大学が違えば、偏差値上は第一志望より下でも、よく出る分野は違ってくる。
滑り止めだからといって、あんまり舐めてかかると、滑り止めが滑り止まらないということもよくある。
傾向を早めに掴んで、足りないなら、やった参考書に戻って確認する。

参考記事:滑り止めの赤本をやるべきか

今までやった問題集・参考書の復習

特に、第一志望のレベルに近いような本は、必ずもう一度やる。
やってみると、案外穴が見つかるもの。
予備校にかよっている人は、テキストの問題を何度も復習する。
予備校のテキストは、変な問題は入っていないし、教育的な問題が多いし、解説も先生がよっぽどハズレの先生でなければ参考書よりわかりやすい。
自分のノートを見ながら、何度も解く。

これは、下にある総まとめ系の問題集をやるより、優先する。

総まとめ系の問題集をやる

傾向に偏りがない、時間に余裕がある、という人は一冊でハイレベルなおさらいができる良問で少数精鋭の問題集をやってもいい。
(あんまり厚いものは、消化不良になるから、おすすめしない)
また、よく出る分野をのみを抽出して、補強するという使い方をしてもいい。
難関大用で、おさらいに向く本はこちら

理系数学 入試の核心 難関大編 難関大突破のための厳選問題60

理系数学 入試の核心 難関大編 難関大突破のための厳選問題60

難関大を受ける人の最後の総ざらい。
ハイレベルな良問で、最後のチェックをしよう。
(ちなみにこのシリーズは物理もある)

化学なら、もうやってる人もいると思うけど、定番の標準問題精講。

化学I・II標準問題精講

化学I・II標準問題精講

この時期にやるべきは「良問で少数精鋭の問題」
この時期から物理の難系とか化学の100選とか、数学のハイ理を焦って手を出してはいけない。
それなら、今までやったことの復習をして、過去問演習をする。

今から新しいものに手を出すのは消化不良にもなりがちだから、自分の出来と残された時間をよく考えて決める。

体調管理はしっかり

ここからの一ヶ月は、一日一日の過ごし方が入試の結果を左右する。
体調管理はしっかり行なって、本番に最高の状態で受けられるように配慮する。
これは、風邪をひかないようにすることもあるけど、精神状態も含まれる。
入試本番に、モチベーションや集中力のピークが来るように、うまく調整することが大切。

最後に必要なのは、根性と気合

ずっと前時代的な精神論で押し通すのは馬鹿げているけど、最後の一ヶ月くらいは根性論で押し切ってしまおう。
結局、最後のものをいうのは、追い込まれてから、どれだけ頑張れるかだから、最高に追い込まれたこの一ヶ月は、もう根性で勉強するしかない。
泣きながらでも、机にかじりつくしかない。センターの後の一ヶ月は、そういう一ヶ月。
3月にどんな結果になったとしても後悔することのないように、思い切り打ち込もう。

為近の物理1・2 合格へ導く解法の発想とルール

東大・京大を始めとする難関大を受ける人の入門書。
物理が得意な人は、ここから始めよう

為近の物理1・2 合格へ導く解法の発想とルール―力学・電磁気

為近の物理1・2 合格へ導く解法の発想とルール―力学・電磁気

為近の物理1・2解法の発想とルール波動・熱・原子

為近の物理1・2解法の発想とルール波動・熱・原子

学校である程度物理はやっていて、定期試験くらいなら取れるっていう人がいざ受験勉強をやるなら、この本から入るのが妥当。
授業も全然ダメ、物理なんて意味がわからないけど、でも理系って人は面白いほどシリーズからをやろう。
初学者にはちょっとキツいけど、コンパクトですっきりとした説明で、わかりやすい。
つまづきやすいorあやふやになりがちな現象をわかりやすく、しっかり説明してくれている。
面白いほどシリーズより薄いし、全2冊なので、ある程度出来る人ならこっちのほうが時間がかからなくて良い。

他の問題集との併用を推奨

基礎例題は、面白いほどシリーズや、エッセンスの例題と大差ないんだけど、次に入試問題に挑戦するようになっていて、これがかなり難しい。
パッと見て、旧帝大などの本格的な重たい問題があったりする。
基礎例題とかなりかけ離れているので、そこで頭が沸騰してしまいそうだという人は、無理をせずに他の問題集を併用することをおすすめする。
併用するなら、基礎事項を確認しながら、少数精鋭で解くなら基礎問題精講、基礎例題より少し上のレベルの問題をガンガン解きたいなら、重要問題集のあたりがいいんではないだろうか。
あとはエッセンスをやっているのが前提の本だけど、河合の良問の風とか。
問題数は少ないけど、良問で同じ著者のものがいいなら、代ゼミから出ている為近先生の本とか。
併用問題集は、この辺りのものをいくつか自分で見て、よさそうなものを使おう。

基礎例題と解説をやって、併用問題集をやって、ひと通りやったら入試問題挑戦するくらいでも十分に勉強になる。
理屈の上では、別に原理さえわかってしまえば、どんなに条件複雑にして重くした問題でも解けるのが物理のいいところなんだけど。
とはいえ、実際にそうやって勉強するのはやっぱり難しい。
もちろん、入試問題にいきなり挑戦して、面白さをわかってくれるなら、それはそれで大変素晴らしいこと。

まあ、この参考書は解説はいいけど、問題が難しいよねっていう参考書だから、できないからといってへこまなくてもいいですよ。

これが終わったら、即過去問やってみて、次に何やるかを決めよう。
たぶん、究める物理か、難系か、為近物理演習あたりになると思う。
(この本は一冊での到達レベルがとても高い。つまり、お買い得ってこと)

難関大で狙われる発展的内容を丁寧に勉強したいなら、究めるでもいいし。
進学校で、難系やる時間あるなら、難系でもいい。

化学の新研究

東大でも、京大でも、この本に載っている事項から出る場合がほとんど。
赤本で聞いたことがないもの、分からないものが出てきたときの最終手段
大学受験の化学はかなりマニアックなことまで、ほとんど載っている。

化学の新研究―理系大学受験

化学の新研究―理系大学受験

難関大受験生がよく使う化学参考書の定番書。
が、これを参考書として読み通したという人はあまり見かけない。
これを受験生の間にすべて読み通して、ものにする人は、一部の化学オタクの人か、医学部を受ける人の中の超上位層か、あとは理解力がとても速くて頭のいい人くらい。
たしかに、この本を読み込んで、新演習をしっかりこなせば、受験における化学は十二分に身につけたことになるけどね。

辞書や、副読本として使うのが正解

この本の使い方は、参考書というより、辞書のほうがいい。
たぶん、分からない問題が出てきたときに開く人が多いんじゃないかと思う。
普通の人が全部読み通すのは、無謀だし、合格点をとるだけなら、そこまでいらない気がする。
基本事項を押さえて、それを応用する練習をすれば大抵の問題は処理できる。
けど、どうしても大宮の面白いほどシリーズや、Doシリーズでは載っていないものが出題されることがある。
別に「こんなん合否に関係ないからいいじゃん」と、放置してしまうのもひとつの手ではある。
が、難関大を受験するなら、そういう気構えでは到底受からないように問題ができている。
分からないことがあれば、少なくともこの本をあたってみるくらいのことはしよう。

過去問や、難しい問題集(100選とか、究めるとか、新演習とか)を解くときに、傍らに置いておけば、勉強が捗る。
普段使いは、分厚いし、重いし、その割に出番は少ないので、あまりおすすめはしない。

この本を本気で全部取り組む時間とやる気は、他の科目に分配してあげたほうが、総合力という意味では賢いように思える。
ただ、本棚に鎮座させておけば、化学で困ることはない。
そういう本だと認識している。

※新課程のやつが出ていたので、差し替えておきました。
2012.02.08

滑り止めの赤本をやるべきか

結論から言うと、本命の赤本を一旦放置してでもやるべき。
たとえ、自分は第一志望が東大で「早慶なんて余裕」と思っていても、それはただの志望校でしかなく、東大生ではない。
たしかに、東大生の中には赤本なんて一切やらずに早慶の問題は余裕で解けるし、それで受かってしまう人もいる。
でも、本当に東大に受かる自信のある人だけがそういうことをできるだけで、ギリギリ受かるか受からないか、というラインにいる人はそれはできない。
東大に受かっても、早慶に落ちる人だって、たまにいるくらいだから、赤本で対策は必要になる。

大学の偏差値だけで考えるな

偏差値で言うなら、たしかに高い大学のほうが難しい問題が出る。
しかし、第一志望の問題がそこそこ解けるようになったからといって、本当に滑り止めの大学で赤本を解いてみて、合格ラインが取れるのかというのは、怪しい。
というのも、出題傾向や、問題の出し方が大学によって全くことなる。
記述式のところもあれば、全問マークも、部分記述もある。
数学では、異常に微積が多いところがあれば、整数問題や確率が難しいところもある。
英語では、理系なのに実は英語がたまに難しい問題だったり、選択肢がいやらしいところもあれば、古色蒼然とした和訳と英訳だけのところもある。
それぞれ対策は異なるし、偏差値の上では第一志望の方が上でも、滑り止めの対策を全くしないというのは自殺行為。
早めに受ける大学の赤本は手を出して、ヘコむなり、安心したほうが、対策は立てやすい。

結構な確率で第一志望は落ちると思え

第一志望というのは、自分が限界まで頑張って、ようやく到達するかしないか、というラインで大体決めているはず。
だから、どんなに頑張っても、落ちるときは落ちてしまう。
そういうときに、可能な限り自分の中で納得のいく結果にするためにも、滑り止めであっても過去問を赤本に載っている分は全部解いておくくらいの対策はしておく。

自分が国立難関大志望だからといって、滑り止め全部落ちて、行くところない状態で国立まで落ちてしまったらシャレにならない。
私立でも、早慶が第一志望だからといって、MARCHの過去問は一切やっていませんだと進学先がMARCH未満になるということはよく聞く話。

物理I・II応用実戦講座

標準レベルの良問で演習を積むなら、これ。

漆原晃の物理物理I・II応用実戦講座―合格点への最短距離 (大学受験Do Series)

漆原晃の物理物理I・II応用実戦講座―合格点への最短距離 (大学受験Do Series)

以前紹介した、明快解法講座の応用編となる一冊。
問題のレベルは、名門の森や、重要問題集と同じ程度。
今までずっと面白いほどシリーズと明快解法講座をやってきたなら、こっちに進むのがいい。
明快解法講座で培った解法を、入試標準レベルの問題でいかに運用していくかの練習になる。

なので、基礎は固めてから使おう
この人の本はたしかに分かりやすいんだけど、応用実践編のレベルになると、さすがにいきなりこれをやるというのは厳しい。
(元々物理が得意で、これを納得ずくで進められるならやってもいいけど)
基礎レベルの問題集終わったら、手を出すように。

例題→演習へ

やり方は至ってシンプル。
まずは例題を答えや解法のヒントを見ながらでもやる。
次に、何も見ずに例題をやる。そして、同じような解法で解ける演習問題をできればノーヒント、できなければ例題を思い出しながらやる。
できなかったところは、徹底的に復習する。
忘れていたところは、明快解法講座や、面白いほどシリーズに戻ってやる。
特に、最重要のマークがついている問題は、絶対に考え方を忘れないようにする。
9割がたの問題がノーヒントで解けるようになるまで、小刻みに何度も復習するように。

これをやれば、普通に河合の全統模試なんかには十分だし、中堅大や標準レベルの問題が出る大学の物理の問題は大抵解けるようになっている。
演習の量が足りないと思ったら重要問題集を補助にやってもいいし、赤本をこの段階で一度やってみてもいい。
東大のような難関大を受ける人は、過去問を見て、レベルの差を感じたら、究める物理に進んで、さらに難関大が要求する物理的な考え方を身につける。