受験と百人一首

原色小倉百人一首―古典短歌の精髄をカラーで再現 (シグマベスト)原色小倉百人一首―古典短歌の精髄をカラーで再現 (シグマベスト)
鈴木 日出男,依田 泰,山口 慎一

文英堂
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百人一首が大学入試に出題されるケースは稀であるが、学校でよく教材として取り上げられることもある。一応受験との関わりについて紹介しておく。

出るとしたら、古文常識を問う知識問題で

毎年私大入試の古文で一問か二問、古文の常識を問う問題が出てくる。
たとえば、

・次の中から同じ時代に書かれたものではないものを一つ選べ
・この和歌が詠まれた時代に作られた物語集はどれか』
・『蔀』の読み方を歴史的仮名遣いで記せ

など。

しかし古文の知識問題は勉強するのが結構面倒である。現代とちがい、想像しにくく、なかなか覚えようと思っても難しいからである。人物の違いが判別しにくかったり、和歌と詠み手が結びつかなったり……文学部志望者ならまだしも、古文に苦手意識がある人などはとっつきにくいと思う。

そこで勉強のとっかかりをつかむために百人一首をやるのはアリだろう。

スタートラインとして活用する

百人一首は当時有名だった詠み手や作品をまとめた「コンピレーションアルバム」。そこには知識問題で出されるような作品の作者だったり、知識として押さえておきたい当時の生活環境などがわかるヒントがたくさん登場する。古文の知識問題は細かいところより、まず主要人物を押さえていったほうが効率よく覚えていけるので、百人一首はスタートラインとして便利だ。

それと、解説本が豊富なのが利点。受験用参考書はほとんど存在しないだろうがたとえば「原色小倉百人一首」という本はとても分かりやすく、見やすいデザインだ。自分は予備校の授業で古文常識を覚える時に、この本に関連情報があるかどうかを調べた。関連する項目がある場合だけ、その一首と解説の部分を熟読するようにした。百首全部を覚えたり読む必要はないが、参照用としては非常に使いやすく便利だった。

ちなみに、和歌を勉強していると枕詞や助動詞・助詞の使い方を学ぶことができる。知識がある程度ついてから一読してみると、より文法が自分のものになると思う。

百首すべてを暗記する必要は?

必須ではない。入試で百人一首そのものが出ることが少ないからだ。

ただし覚えたり、知識を深めることで古文が得意になるきっかけになると思う。古文読解が苦手な人は、とっかかりとして利用する価値はある。

なお、古文常識は少ない勉強時間で取れるサービス問題なので、特に私大難関狙いの人は完璧に得点する戦略を立てていくといい。そのための参照用として百人一首で理解を深めるというのがオススメである。

国文学専攻を志望する場合

国文学専攻を志望する場合は覚えておいたほうが楽かもしれない。覚えていなくても、それぞれの作者や解釈や自分なりの解釈を添えて。
入学後、文学部は万葉集なり源氏物語なり、読まなくてはならない作品は本当にガチで読んでいくことになる。原書読破とレポート作成に追われるなかで、百人一首をさらっと覚えているくらいの学力があると、かなり助けになる。