受験勉強における『源氏物語』

難関大を狙う際に『源氏物語』がよく出題される。私大難関志望であればある程度対策しておくと実力がつく作品だと思うので、源氏物語の対策法についてまとめたい。

源氏物語』の出題傾向

難関大なら源氏物語はよく出題される。その理由として、
◎主語や状況が分かりにくく、読むのに高い知識を求められる
◎古文頻出の「敬語」がよく使われており、設問にしやすい
平安時代の文化など、エッセンス的要素が凝縮されている

難しくて内容も素晴らしい。おまけに大長編だから、出題しようと思えば色んな箇所から出題できるわけだ。

対策の仕方として、原作を読むに越したことはないが、内容が難しいうえに、すべて読むのは至難の業だ。あくまで本番で源氏物語が出てきたときに得点できることを目標にすえるならば、マンガで十分。

あさきゆめみし」より「源氏物語を7日で制覇する」がいい

ドラゴン桜」などでもよく知られている「あさきゆめみし」だが、自分は以下の理由により読まなかった。というより、読んでみたが、断念してしまった。

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・キャラクターの見分けがつきにくい(顔が似ている)
特に女性の顔が似ていて、熟読しないと見分けがつかない。末摘花くらい特徴的な外見ならば別だけど、……。きっと「あさきゆめみし」は源氏物語をある程度わかってからのほうが読みやすいだろう。ということで、

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源氏物語を7日で制覇する」という本を読んで対策することにした。結果的には、この本だけで良かった。

この参考書の良いところとして、
◎登場人物の違い、ストーリーの違いが分かりやすく構成されている
◎読もうと思えば一日で読めるボリューム
◎作品中の和歌をわかりやすく紹介されている

という点がある。あさきゆめみしの不足する部分を補っていて、より受験対策向きだ。出口汪の「源氏物語が面白いほどわかる本」より、さくさく読めた。あとは古文問題集で原文を読んでいくことになるが、その準備用としては最適だと思う。

ただ問題点として、マンガ形式の参考書が好きじゃないという人には向かない。活字が好きな人は「源氏物語が面白いほどわかる本」を薦めたい。

源氏物語が面白いほどわかる本〈上〉 (中経の文庫)
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源氏物語の勉強の仕方

まずあらすじを簡単におさえる。これは、光源氏が生まれてから王子として栄え、数々の女性と恋をして、死ぬ物語である。死後、息子の物語もあるが、まずは光源氏の生涯をストーリーとしておさえる。

具体的には、恋の遍歴を女性別に追っていけばいい。夕顔との恋はどうなったか、若紫との恋はどうなったか、末摘花とは、藤壺とは。女性別にストーリーを理解するようにすれば、かなり頭に入る。これは、上で紹介した『7日間で制覇する」が使いやすいだろう。「あさきゆめみし」も登場人物の名前をきちんと区別できるのであれば、使えるはず。

だいたいストーリーがつかめたら、問題集で源氏物語を読んでみる。

敬語と主語を追う

ある程度、文法の知識が無いと厳しいかもしれないが、難関大志望の人で源氏物語対策をする人は、ある程度文法知識があるという前提で。

敬語は、誰から誰に敬意が払われているかを意識する。敬語の種類や単語によって、それがわかるので、敬語として使われる単語を覚えておき、原文を読む際には種類(尊敬語/謙譲語/丁寧語)を区別しつつ敬意の対象を書き込みながら読む。

それと、源氏物語は特に主語が省略されることが多い。どの文も主語をおさえながら読み進めていく練習をする。基本的に助詞が役に立つ。「て」があるときは主語が変わらず(朝起きて、学校に行って、寝て、の「て」)、助詞「ば」「と」があるときは主語が変わりやすい、という傾向がある。そういうテクニックを問題集などで徐々に身につけながら読み進めていく。

出てきた和歌は意味を必ず調べておく

出題される設問の中に、和歌の解釈がよく出てくる。過去問ですでに出た和歌が別の大学で出題されることも多々あるので(数が限られているから)、出てきた和歌はきちんと意味や解釈を調べておく。これも「7日間で制覇する」などを使うか、ネットで調べればいい。

予備校などで源氏物語の講座を受ける

予備校に通っている人は夏期講習、冬期講習などで源氏物語対策の講座があるはずなので、それでマスターしてしまうのもいいと思う。古文においては、古文単語や文法のほうが優先度が高い。源氏物語以外のもっと簡単な古文を読めることのほうが優先度が高い。

したがって、基礎を普段身につけながら、仕上げとして源氏物語を受講する、という戦略でもいいだろう。

まとめ

◎「源氏物語を7日で制覇する」で流れをおさえる
◎敬語と主語を見極めながら読解を読んでみる
◎古文単語や文法に不安があればそれを先に習得すること