数学フローチャート

理系の受験生がおそらく最も時間を割くであろう、数学についてのおおよそのフローチャートを挙げていく。
ただし、主に数学があまり得意ではない人に向けて書くので、数学が得意な人は適宜自分に適正なレベルの問題集を選んでほしい。
各段階での詳しいことは、別記事に記載する。

数学の土台作り

まずは、基礎基本から。
とにかく、土台をしっかり築かなければ、どんなに高度な手法を手にしても、砂上の楼閣となる。
数学は、基本の型をしっかり身体に叩きこまなければ、模試も過去問も、何の意味もない。
なので、全範囲の基礎問題を網羅した問題集から受験勉強は始めよう。

入試のための勉強を始めるにあたり、まず何を買うか、で多くの人は迷う。
それで、いきなり自分が東大志望だからといって『やさしい理系数学』や、駿台の各種問題集などを買って爆死するということがないようにしよう。
汎用問題集をきちんとやり込んで、模試でもいい成績を上げている進学校の人であれば問題ないのだけれど、普通は千里の道も一歩からということになる。

学校の汎用問題集もそこそこやったけど……という人であれば、まずは黄チャートから勉強を始めるのをおすすめする。
その理由や、使い方は後ほど説明するが、ここで土台をしっかり築いていくことが先決となる。

該当記事:チャート式

基礎から危うい人のために

「学校の授業なんて全部寝てた!」
「黄チャートがさっぱり分からない!」
「その他網羅系の問題集がさっぱり分からない!」
もしくは、「この単元だけアレルギーだ!」

という人には、それ相応の本がある。
数学は段階が踏まなければならない科目なので、分からないのなら、そこまで戻る必要がある。
無理矢理自分のレベルより高いものをやるくらいなら、徹底的に基礎まで戻った方がいい。

該当記事:数学が苦手でどうしようもない人への処方箋

入試基礎

ひと通り、数学の土台作りが終わったら、次は「入試」のための基礎となる解法を習得していくことになる。
基本の網羅系で身につけた基礎を、入試でよく使われる手法に落としこむのだ。ここで必要なのは、解法集として使える問題集となる。
土台の次は、道具(武器とも言える)を作るのだ。問題に立ち向かうための道具を一つ一つ習得することで、いわゆる入試問題の型を覚えていく。

ここで解法集として挙げるのは、定番の『一対一対応の演習』シリーズだ。
いわゆる大数色が強いが、やはりこれは外せないだろう。
黄チャートが簡単過ぎる、もしくは汎用問題集を穴の開くほどやったという人なら、ここから受験勉強を始めてもよい。

ちなみに、予備校の上位クラスのテキストはここまでが身についているのが前提で問題が組まれているので、浪人してでも難関大に行きたい人は、予備校に入るまでにここまでは必ず終わらせておこう。
でないと、あとで泣きを見るはめになる。

該当記事:1対1対応の演習

インプットが終わったら、アウトプット

ここまでで、いわゆる数学の暗記はひと通り終わったことになる。
ここで一つ、自分の力を試してみるのと、インプットした道具を実際に使ってみるということが必要になる。
そこでやるべきなのが、標準的なレベルの入試問題の演習である。
手に入れた道具を使って、どこまでできるか挑戦してみよう。

この段階で中堅国公立、上位私立志望の人は、一度赤本を解いてみてもいい。
問題集を買うなら、『理系数学入試の核心』(Z会出版)や『理系数学の良問プラチカ』(河合出版)辺りが適当だと思われる。
前者は一冊にまとまっているので、難関大志望者や、赤本をやり込みたい人はこちらをやるのがいい。
後者は、学年ごとに分かれていて問題量が多いので、問題を多くやりたい人はこちらもいい。
ただ、3Cは難しいので、レベルが高くてめげそうなら、同じ河合の新こだわってシリーズの3Cの箇所をやるといいかもしれない。

一対一で、大数色が好きになった人は、『新数学スタンダード演習』をやってもいい。
が、説明がマニアックなこともあるので、大学への数学のやり方が好きな人にしかおすすめしない。

ここまでがほぼ完璧に解けるようになれば、難関大と医学部を除いた多くの大学の赤本はそこそこ解けるはずだ。
赤本を解いて、穴があったら、網羅系問題集や、解法集に立ち戻って、もう一度穴を補強してほしい。
難関大志望者は、ここでようやくスタートラインに立ったと言える。
難関大は、何が難関かと言われたら、この道程の長さだろう。しかし、仕方ない。やらねば、解けない問題が出てくるのだ。
とは言うものの、東大京大でもこのレベルが解ければ実は解けてしまう問題もあるから、そこまでビビる必要もない。
必要以上にビビることもないが、このレベルの問題は受験者ならほぼ全員正解してしまうので、差がつかない。
ということは、ここまでは寝てても解けるくらいにしておかなければならない。

該当記事:理系数学 入試の核心 標準編

上級者向け問題集

ここから先は、旧帝大東工大といったいわゆる難関大の志望者向けの問題集となる。
単元別に用意された東京出版の解法集「微積分基礎の極意」「解法の突破口」などや、河合のやさしい理系数学、ハイレベル理系数学、Z会の理系数学入試の核心難関編などを各々の好みでやればよい。
ここまで来れば、もう数学の勉強の仕方も身についているだろうから、何も言わなくてもやりかたはわかるはずだ。

東大・京大の志望者は、
「世界一わかりやすい東大の理系数学」 
「世界一わかりやすい京大の理系数学」

が、中経出版から出ているので、一度やってみよう。
解説がかなり丁寧なので、数学が得意でとにかく問題を解いて回したいという人は、説明がくどいかもしれない。


このレベルの問題集は、分からないところ、知らなかったところをインプットしながら、次のアウトプットに活かす、という意識でやってほしい。
どの大学の赤本や、模試の問題もそこそこ取れるようになるはずである。

全てのレベルに共通して言えること

インプットも、アウトプットも、それぞれ買った本を100%使いきることが大事。
なぜなら、土台を1つずつしっかり積み重ねるのが、数学の成績を上げる一番のコツだから。
自分の偏差値や、今までやってきた参考書、問題集を元に最適なレベルを見極めて、適切な量、レベルの問題集を買ってそれを買ったからには徹底的にやりこむ。
もし、間違っているのではないか、合わないのではないか、と思ったら誰かに相談する、ということをして欲しい。
一つのレベルをすべての範囲で広く習得し、次に進むということをしないと、数学の点数は絶対に安定しない。
だから、数学は「伸びにくい」と言われる。
伸びなくても、めげずにまずは基礎基本から一つ一つきっちり積み上げていってほしい。

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