大宮理の化学が面白いほどわかる本(理論化学編)について

おそらく、このシリーズが化学の参考書で今一番定番なのではないだろうか。
照井式や、Doシリーズなどが以前は定番だったが、このシリーズの刊行により押され気味のような気がする。
それほど、このシリーズは優秀であり、化学の定番書足りえる内容を含んでいる。
今回はその中でも、理論化学編を紹介する。

新出題傾向対応版 大宮理の 化学[理論化学編]が面白いほどわかる本

新出題傾向対応版 大宮理の 化学[理論化学編]が面白いほどわかる本

ご覧のとおり、表紙が化学に何ら関係のないイラストになっているが、中身はしっかりしている。

理論化学は全ての基礎

まずこの理論化学編を紹介したのは、理論分野は無機や有機の基礎になっているからだ。
無機や有機は暗記するべき項目が多い。それこそ、英単語のように単調に覚える作業だ。
理系の生徒はこれを嫌う傾向があるし、理論抜きに単純に暗記するだけだと、応用が効かない。
もちろん、酸化剤、還元剤の半反応式のように本当にただ暗記しなければいけない部分も多くある科目なのだが、なるべくそれを少なくして、理屈に基づいた暗記を増やした方が記憶の定着がいい。
なので、モル計算を中心に、化学は理論から始めるのがよい。

使い方

この本は大学受験で一冊目に使うべき本で、入門書となる。
高校1、2年生の副読書として使ってもいい本だ。
なお、センターでしか化学を使わない人は、1の範囲のみでいい。
逆に、理系で難関大を受ける人は、2の範囲、特に平衡の理論は徹底的にやる。
学校でも手薄になりがちな部分なので、ここは絶対にやること。赤本で毎年出る大学もある。(京大とか)

1. 説明を読む
イラストや文章を使ってよく説明してある。わかりやすくしようという気概をとても感じる説明なので、よく読む。
説明が冗長と感じるときは、飛ばしてしまってもかまわない。
また、説明がわかりにくい、自分のレベルに合ってないと思ったら、化学をはじめからていねいにを参照するのも手だ。

2. POINTや解説を読みながら例題や問題を自分の手で解く
最初は、何を見てもいいので、とにかく自分の頭で考えて、手を動かして、例題を解く。
このとき大事な反応式は、一覧表を作ったりして、何度も見て覚えること。
ここは理系の生徒の苦手で嫌いなところなのだが、暗記しないと何も解けないので、気合いで覚える。
そして何かを見ながら解いた問題は、自分で「何故こうなるのか」を説明できて、何も見ずに解けるようにする。

3. 章のまとめでおさらいして、章末の「チェックしよう!」でチェックする
最後に章末で自分の理解度をチェックする。
チェックしよう!には解説がついていないが、章の中に答えは書いてあるので、分からなければ自分で該当箇所を探す。

4. 類題を解く
この参考書だけでは問題演習の量が不足している。計算問題をもっと解く必要がある。
著者が同じで、レベルもこの本と同じか少し上なので類似問題も多いが、「化学化学I・II明快解法講座―合格点への最短距離」で計算力を強化できる。
入試でよく見る典型問題がまずこれで解けるようになるだろう。

難関大や、医学部以外ならこれ一冊で知識は十分

このシリーズ全般に言えることだが、分厚いだけあってこの中に収録されている事項は受験にあたって必要な知識がほとんど入っている。
普通の問題を普通に解く分には、他の参考書はいらないように思われる。これが仕上がってから赤本を解いてみて、知識面では問題なさそうなら、重要問題集などで演習を積めばいい。
大京東工大、医学部を始めとした化学が難しく、このシリーズでは知識面でも足りないような大学を受けるような人は、辞書的な役割として「新研究」を活用しよう。
難関大志望者なら知っているし、持っている本だとは思うが、この本の詳しいことはまた別の記事で後日紹介する。
とはいえ、こっちはあくまでも辞書的な扱いなので、基本はこの本で構わない。